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「日本郵船これくしょん」Vol.8 Crew Transfer Vessel編 洋上風力発電の現場と港を結ぶ頼もしきトランスポーター | BVTL Magazine | 日本郵船株式会社

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CTVは洋上風力発電設備で活躍します。洋上に建設された風車や関連設備の設置・定期点検・メンテナンスなどに携わる作業員を、現場へ送り届ける船なのです。

再生可能エネルギーの活用は、温室効果ガス排出削減の観点から喫緊の課題とされています。日本政府は、2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に向け、2040年度にはエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を4~5割にまで引き上げ、そのうち風力発電比率を4~8%にするという計画を立てています。しかし、山地の多い日本の国土に風力発電所を建設できる適地はそう多くありません。

そこで注目されたのが洋上での風力発電でした。2019年4月には「再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)」が施行されました。

再エネ海域利用法を受けて、日本で2番目に建設されたのが、北海道にある石狩湾新港洋上風力発電所です(2024年1月稼働)。石狩湾新港からおよそ2kmの沖合に風車14基を設置し、総出力は122MWを有します。東京ドーム約10個分に相当する約500ヘクタールという広大な海域に展開する国内最大規模の風力発電所です。

石狩湾新港洋上風力発電所の風車の作業員輸送においてフル活躍しているのが、日本郵船グループのCTV、「RERA AS(レラアシ)」です。

石狩湾新港を母港とする日本郵船グループ初のCTV、「RERA AS」

石狩湾新港洋上風力発電向け作業員輸送船(CTV)「RERA AS」が運航開始へ
http://nyk.zhutiblog.com/com/news/2023/20230705_01.html

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「日本郵船これくしょん」シリーズでは、人々の暮らしと経済を支えるさまざまな船種について、詳しく分かりやすく紹介しています。 石狩湾新港洋上風力発電所に人を運ぶ「RERA AS」 日本郵船は、2022年に洋上風力発電事業への参画を決定し、CTVの建造に着手。最新の知見を盛り込み、日本の海洋・気象条件に合わせた仕様を施して、2023年7月に「RERA AS」の運航を開始しました。

「RERA AS」というネーミングは、日本郵船のグリーンビジネスグループ内の公募で決まりました。レラは“風”、アシは“立つ”を表すアイヌ語で、つなげて“風が吹く”という意味です。風力発電がより普及するようにとの願いを込めての命名でした。

「RERA AS」は全長27.10m、幅は9.00m。船体にはCTVとして機能するために必要十分な、きめ細かな工夫が最大限に盛り込まれています。

CTVは作業員を安全かつ迅速に運ぶことが最重要のミッションであり、海象条件(波・風などの海の状態)が厳しい状況にあっても確実に洋上設備へとアクセスできなければなりません。

CTVは二つの船体をつなげたような双胴船となっています。双胴船の特徴として横揺れを軽減する効果があり、波が高いときでも移乗しやすく、船酔いを減らす効果も期待できます。

船体の素材にはアルミ鋼板が使われています。軽荷重量(船体・機関・諸設備に、法定備品のみを加えた船の自重)92トンと軽量で、約20~30ノット(時速約37~56km)まで速度を上げられます。風車に接舷する際の衝撃も軽量なアルミであれば比較的小さくできます。

船首には伸縮性に優れた特殊な大型フェンダー(防舷材)が取り付けられています。大型フェンダーが風車設備に接舷する際の衝撃を吸収すると同時に、摩擦力により船体を安定させ、作業員がCTVから風車へ、風車からCTVへと安全に乗り移れるよう配慮しています。

CTVは作業に必要な資材なども運びます。甲板は20フィートコンテナを積載できる広さがあります。荷物は風車設備側にあるクレーンで引き揚げます。船橋の上には夜間も安全に作業できるよう、回転して対象物を照らすサーチライトも取り付けられています。

CTVは双胴船。前から見るとご覧の通り

接舷時にフェンダーを押し付けて揺れを抑えることで安全に移乗できる

船橋の前に設けられた甲板には20フィートコンテナが置ける

小型船ながら安全性・快適性を隅々まで考慮 「RERA AS」の内部を見てみましょう。作業員を乗せるスペースは、安全性だけでなく快適性にも十分な配慮を施しています。座席そのものに揺れを吸収する機構が用いられていて、船酔いを防ぐだけでなく、各座席下にはAC電源やUSBポートを完備。短時間の航行であっても、移動中にパソコン作業ができます。もちろん船内Wi-Fiも備えています。

通常の運航を担当する乗組員は船長・機関長・機関士の3人ですが、乗組員用の個室は5室用意されています。共用のシャワールームの他、乗組員用ラウンジにはミニキッチンもあり、電子レンジやオーブン、コーヒーメーカーも置かれています。船上で待機する乗組員たちにも快適に過ごしてもらうための設備です。

船橋は作業員用ラウンジ(作業員を乗せるスペース)の上にあります。操縦席から風車での作業の様子やクレーン設備などをしっかりと目視できるよう、大きな天窓が設けられています。

船体の二つの胴体内部にはそれぞれ2基ずつエンジンを搭載し、プロペラも計4本あります。それぞれ独立した舵が付いていて、操船には船でよく見る円形のステアリングホイールではなくスティック1本。これで四つのプロペラをコントロールします。

操縦席には赤外線モニターもあります。夜間の作業や、海中転落者が出た場合にも必須の装備です。小型船ながら乗客・乗員の安全や快適性を隅々まで考慮したCTV。思わず乗ってみたくなりませんか?

作業員用ラウンジ。後方にはコーヒーメーカーや電子レンジを設置

座席にはオットマン(足乗せ)やテーブルを装備

各席にUSBポートとAC電源が設けられている

乗組員用の個室。Wi-Fiも完備

共用のトイレ・シャワースペース

船橋の天窓からクレーン作業など上方を確認できる

赤外線カメラで夜間作業を支援

スティック型の舵

エンジンを4基搭載している。プロペラも4本

カーボンニュートラル社会の実現に貢献するCTV事業 石狩湾新港洋上風力発電所が稼働に至るまで建設の現場に寄り添った「RERA AS」ですが、現在は、同発電所の点検・メンテナンスなどに従事する作業員の輸送に活躍中です。洋上の施設で必要な作業は日々発生しています。

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、国内外で洋上風力発電の構想は多数進んでいます。CTVの需要は今後ますます高まっていくと予想されます。国土交通省によれば、国内だけで2030年には約50隻、2040年には約200隻が必要とされています。

日本周辺海域の海象条件に合った安全性、高速安定性、速力、乗り心地、接舷装置などを備えた国産CTVの登場が期待されています。

日本郵船では、新たな事業分野としてCTVに積極的に取り組んでいます。2024年に日本郵船グループで洋上風力発電関連事業を行っているNorthern Offshore Services社が欧州で独自設計した図面をベースとするCTV建造を国内造船所に発注。国内洋上風力発電設備の建設・保守に役立たせるとともに、国内造船業の活性化を目指しています。国産CTVは2026年の竣工を予定しています。

洋上風力発電の目的であるカーボンニュートラルに取り組むべく、2025年5月には、Northern Offshore Group社の子会社Northern Offshore Services社が、二酸化炭素排出量の少ないメタノール燃料焚きCTVを世界で初めて竣工。この知見は今後、国内でのCTV建造にも生かされていくでしょう。

カーボンニュートラル社会の実現に貢献したい――。日本郵船の洋上風力発電事業への取り組みにご注目ください。

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